Photo © Fujiki Studio
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建築の植物化

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Location
韓国, Japan
Year
2004

太陽エネルギーをテーマとして韓国で開催された国際コンペティションで、グランプリを受賞したプロジェクトです。工学院大学藤木研究室の学生たちと一緒に制作しました。光州市の中心部に敷地が与えられ、自然エネルギーの活用と、その研究・展示を目的とする「ソーラーサイエンスセンター」を設計せよ、という課題でした。

わたしたちの提案には、《建築の植物化》というタイトルを付けました。これからの建築が目指すべき方向性のひとつだと考えたからです。「建築の植物化」とは、形態や構造を含め、植物の有しているさまざまな仕組みやはたらきを建築的考案に変換し、より望ましいソーラー建築のあり方を探ることを意味しています。なぜなら、地上に到達する限られた太陽エネルギーを、最も有効に利用する仕組みを備えているのは、植物だからです。したがって、太陽エネルギーの有効利用を目指すなら、光合成を行なう植物の葉の配列や葉緑素、気孔などのはたらきが、これからの建築のモデルとなるに違いありません。

全体は、一見すると、一枚の葉のような比較的単純な輪郭をしていますが、実際には、内部に複数の木造建築を包含した入れ子状の構成でつくられています。主な提案の一部を紹介すると、最も特徴的なのは屋根に関する提案です。太陽光発電を行うための広大な屋根面を支える構造として、植物の葉を構成する“維管束”の形状を援用しました。そして、その結果生まれる大小様々なパネルの形状ごとに、透過率の異なる透光型ソーラーパネルを割り当てることで、あたかも木漏れ日のような自然光の降り注ぐ空間が建築内部に出現します。すなわち、太陽光発電を行いながら、適度に日射を制御しつつ自然光を取り入れ、できるだけ人工照明を用いずにすむような計画となっています。(建築的維管束)

また、例えば、植物の葉の配列は、直射日光だけでなく反射光も含めさまざまな角度から入射してくる光を、できるだけ多く受け止めることができるようにつくられています。これにより、弱い光も有効に利用することができるのです。

わたしたちは、植物のもつこの仕組みを建築的に翻案するための装置として、球形のPVセルによる透光型ソーラーパネルを提案しました。ひとつひとつのセルが球形をしていることで、あらゆる角度からの光をレシーブすることが可能になり、太陽光発電の有効性が高まるものと期待しています。(建築的葉緑体)

この他、建築的導管、建築的気孔、建築的葉脈などの提案を行いました。CFD 解析により、これらの提案の有効性を検証しています。

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