Structural Mesh
福井, Japan
- Architects
- F.A.D.S
- Year
- 2005
網状の構造体による現代のなまこ壁
酒屋を営む家族のための、店舗と2世帯住宅からなる複合建築です。構造システムが。最も大きな特徴となっています。この建築が建つ福井市は多雪地であり、構造設計上考慮しなければならない積雪は2mにも達します。にもかかわらず、この建築は、幅36mm奥行き100mmの、非常に細いスティールのフラットバー(平鋼)によって支えられています。
構造体が外周部にのみ設けられているため、複雑な要望を満たすためのプランニングが容易になるとともに、内部に余計な柱がないため、将来の間取り変更が簡単に行なえるという利点があります。自然エネルギーを有効に利用するための、気流シミュレーションを用いたデザイン手法も、もうひとつの特徴です。温度差のあるふたつのテラスを上下階に配することで建築内に空気の流れが生じ、自然換気が促進されるような計画としています。
1階は日本酒をメインとした店舗で、建て替え前に一度改装設計を担当しました(田中屋酒店)。店舗のインテリアは、その時に用いた杉材を慎重に解体・保存し、そのまま再利用しています。杉のフレーム、漆黒の試飲カウンター、日本的な赤で塗られた床のフローリングが主なデザイン要素です。棚板は赤茶色に錆びた鋼板を用いてつくりました。
菱形に編まれた外周部の構造体は、あたかも現代のなまこ壁のように見え、最先端の技術でありながらも、日本の伝統に通じる雰囲気を醸し出しています。
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