星野リゾート リゾナーレ那須 POKO POKO
Tochigi, Japan
- Architects
- クライン ダイサム アーキテクツ
- Location
- Tochigi, Japan
- Year
- 2019
- Client
- Hoshino Resorts
「星野リゾート リゾナーレ那須」は地域の生産活動に触れる体験を軸に、ホテルでの食事やさまざまなアクティビティを楽しむ「アグリツーリズモリゾート」をコンセプトとした施設。那須の自然に囲まれた標高約500mに位置し、敷地内には複数の宿泊棟や施設が点在する。「POKO POKO」は滞在中のさまざまなアクティビティの拠点であり、本館と別館をつなぐ林の小径の中程に立つ。
リゾナーレは既存改修によるリブランドが主だが、わたしたちは各施設のコンセプトを体現しつつ誰もが親しみを持てる建築・ランドスケープを作ることによって、他にはないユニークな体験を作り出そうと試みてきた。ここでもアイコニックで可愛らしい外観の建築によって記憶に残る施設になることを目指した。
文字通りポコポコと連なる3つの大屋根がかぶさる印象的なプロポーションは、那須連峰を思わせるリズミカルなシルエットで、3つの円の直径、中心点の位置、天窓の大きさと角度をずらしながら組み合わせている。
夜には低く抑えた開口部全体から暖かい光が溢れ、屋根だけが森の中に浮かび上がる幻想的な風景を創り出している。
この独特かつ複雑な屋根の形状を、構造、機能の両面とも成立させるため、設計初期から3次元CADとパラメトリックプログラムを用いて設計を行った。設計チームだけでなく施工者ともデータを共有することで、正確な梁の長さや切り欠く角度を割り出し、無駄のない施工が実現できた。
屋根の構造は鉄骨の柱を固定するスチールプレートのリング梁と、各屋根のトップライトを固定する三つのリング梁を縫い合わせるように配置したベイマツの登り梁で構成されている。三つのトップライトがそれぞれ別方向に傾いているため、ねじれに対応できる柔軟な構造体が求められた。それぞれの登り梁は丸太加工された2本のベイマツを、等間隔に配置した短い丸太のスペーサーで固定した梯子形状になっており、登り梁自体がトラス構造のような働きをして屋根を支えている。通気を確保するための間柱もテーパー加工し、最後の合板を曲げ加工することできれいなカーブを描いた屋根ができあがった。
大屋根が生み出す大空間は、ピザ窯を使った、「農」と「食」のアクティビティを展開するキッチンエリア、雨の日でも思い切り遊べるネット遊具とボールプールのキッズエリア、そして暖炉の炎を眺めながらゆったりとした時間を過ごせるライブラリーエリアと3つの空間で構成され、それらがおおらかに連続する。日中はトップライトから自然光が降り注ぎ、夜は木に反射する柔らかな光に包まれた温かな空間となる。木のぬくもりとアクセントカラーのグリーンがランドスケープと連続する風景と共に、心地良い時間を楽しむことができる。
「リゾナーレ那須」での忘れられない体験の思い出が「POKO POKO」の姿と共に思い出される、そんな建築となることを願っている。
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