Photo © Masao Nishikawa
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RAY

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Lieu
東京, Japon
Année
2011

敷地は東京の都境を流れる川沿いの街。駅から程近い高台の敷地周辺には緑が溢れ、良質かつ閑静な住宅地が広がっている。40代の建て主が新たに購入した分譲地は、細長い通路の先に敷地がある「旗状敷地」であり、東京独特の敷地形状である。道路に面していない敷地はいささかネガティブな印象を抱きがちであるが私はそう考えない。むしろこの通路こそが道路と住宅を繋ぎとめる重要な緩衝帯として生かされ、パブリックとプライベートを接続させるパサージュ(街路)になると考えている。また、敷地の奥には見下ろしの緑景が広がり、借景として室内に取り込むことができる。加えて敷地周辺の景色を巧みに取り込むことや風の通り道を十分に留意しながら、配置や開口部の計画を丁寧に行っている。

1階には主寝室と客間、ボディルームを配置し、家族の空間は日当たりの良い2階に配置した。ダイニングとリビングの間に緩やかな段差を設けたのは、単純なワンルームに変化を与える役割に加え、高台敷地周辺の空気感を内部空間にも表現したかったためである。天井をあえて低く抑えたダイニングキッチンにはのびやかな水平連窓を設け、通路側や敷地奥まで見下ろすことができる。その一方で、高い勾配天井に面したリビングは、3階の子供室やスタディルーム、ルーフバ ルコニーと吹き抜けを介して連続する大らかな空間。トップライトやハイサイドライトからはダイナミックな光が降り注ぎ、壁面に陰影を生み出す仕掛けとな り、室内からは自分達だけの空を眺めることも可能だ。建主の人柄同様、環境の力に逆らわない「素直さ」こそが、この建築で表現したかったことである。

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