Photo © Masao Nishikawa
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花藏院 府中市霊園「ようようの庭」

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Lieu
東京都府中市, Japon
Année
2023

–区画の集合から全体論へ–

社会の変化に対応した「偲びの場」が必要とされている
少子高齢化やライフスタイルの変化により、2021年には平均世帯人員が2.37人まで減少、単独世帯の割合は29.5%まで増加するなど家族形態は多様化しており、家族意識の中心は祖先崇拝=死者から、夫婦、親子関係の結合=生者へと向かうようになっている。伝統的習慣と考えられている「○○家先祖代々の墓」と刻まれた「カロート式家墓」は明治時代以降の法整備と国民道徳教育の結果、普及した形式であり、一般化してから100年も経っていない。我々は都度、墓の形式を選択してきたのである。近年、家系や血縁によるタテ系列の継承を前提とした「カロート式家墓」が限界を迎える中、継承者を必要としない永代供養墓として合祀式墓地、一世代を対象にした樹木葬や納骨堂など多様な墓の形態が登場しているが、祖先崇拝の希薄化や家族規模の縮小化には対応しているものの、「個別」の集合以上のものを見出し辛いし、縮小したとはいえ残る親子の世代交代という将来的な生命の循環にも対応出来ていない。

墓と庭が一体になった回遊式枯山水墓苑
「ようようの庭」は今までに類の無い枯山水のような回遊式日本庭園の墓地である。遺骨4体を埋葬出来る個別墓と合祀墓の機能的連携により、縮小する家族規模や単独世帯の増加に対応させるだけでなく、33回忌の弔い上げを迎えた個別墓の遺骨を合祀墓に移動する事で、親子の世代交代という将来的な生命の循環にも対応させている。5つの築山と密植した樹木を世俗との結界にして、その内部に11の苔庭を配置する。4つの合祀墓は築山に、116の個別墓は築山と苔庭に分散配置される。個別墓と合祀墓を構成する墓石や墓誌、献花焼香台は人為的加工を極力排除した自然石にする事で、各墓のデザインは全て異なる事になり、景石として置くか、積むかだけにする事で庭の風景と一体化させる。
各墓石は庭を媒介にして全てが関係する事になる。

アルゴリズム思考による有機的デザイン
2つの築山状合祀墓が敷地外の桜並木の2本の桜に正確に向き、そこを起点にして周縁部の5つの築山状合祀墓の位置が自ずと決まる。個別墓のみで構成された苔庭面積は、中央に樹木を2~3本配置出来る最小限とすれば、その大きさと数は自ずと決まる。築山に近い部分の苔庭の形は、築山との間に2人がすれ違える幅員1.2Mの参道を通す事で自ずと決まる。残りの苔庭の形とその配置は、ある参道の正面に必ず別の苔庭があり、参道が次々と分岐するように決める。こうして各苔庭は分岐する参道と隣合う苔庭の影響により決められるので、1つとして同じ形はない。ピンコロによる参道舗装は枯山水の砂紋を模していて、各苔庭を中心に波紋のように広がり、互いに打ち消しあう。有機的なデザインは数学的思考の結果であり、参拝者は遠くの山々を借景にした枯山水の中を散策しているような豊かなシークエンスを経験する。

聖域の尊厳性と永続性
墓は、どんなに社会が変化しようとも、何らかの場や装置を媒介に死者と生者の魂が出会える場でなければならず、尊厳性と永続性が必要である。「ようようの庭」は唯一無二の自然石が死者に尊厳を与え、個別墓と合祀墓の一体性が循環する生命の永続性を保証している。全ての墓が関係し合い、一体の庭としての風景は自然回帰にも似て聖域に相応しい。

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