Photo © Akinobu Kawabe
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LUZ白金

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2011

共用部にある居場所

周囲には町工場や住宅が密集するように建つ、5階建て13戸の集合住宅である。敷地がほとんど建物で囲まれている状況では、住環境を周辺に頼るだけでなく、つくり出していく必要があると考えた。

ここではその役割を共用部が担っている。採光・通風・視界といった、通常は外部へと求める要素を建築の内側に取り込み、各住戸で共有している。共用部は階段や吹き抜けを介して地面から屋上まで続く、積層した住戸のようでもあり、道路や隣の空地、隣家の屋根の上といった抜けを選びながら、階数と方位に応じて周辺と関係付けられている。風は上下階を通じて抜けていき、一日を通して様々な方向から陽の光が入る。外観は住戸と共用部の区別のない開口で構成され、周囲に対して背を向けない立面をつくっている。

各階の共用部は通常の廊下よりも少し幅を拡げ、住戸と同じようなスケールとすることで、各住戸に付属したインテリアのような場所になっている。部屋の窓の向こうが、もうひとつの居場所として連続感のある奥行きをつくるように、共用部は住戸と同じインテリアとして細部まで考えた。既製品のアルミサッシは、雨仕舞いの理由から外部のような見え方をしてしまう為、木製の枠を壁面と同面で四方に回し、アルミサッシとしてのディテールを消している。また、通常のドアホンは共用廊下のような場の印象を与えてしまうので、室内のスイッチと同じ仕様のプレートを用いている。そのようにしてできたインテリアには、場所の特性や使い方に応じて、専用にデザインされたテーブルやベンチ、シェルフを置いている。

住み手によって本や植栽が置かれ、日常生活の中で使われていくことで時間が積み重ねられていく。建て替えなどにより周辺環境が変化をしても、共用部がその役割を超えて、入居者同士だけでなく、人と人、人と環境をつないでいくことを願っている。

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