関の家
岡山県岡山市, Japon
- Architectes
- 藤原昌彦 / バウムスタイルアーキテクト
- Lieu
- 岡山県岡山市, Japon
- Année
- 2020
岡山市内の閑静な住宅街に建つ、家族四人が暮らす住宅である。
敷地は南側道路に面し東西方向に長いため、自然エネルギー(太陽熱)を効率よく享受できるように思えた。
日々忙しく働かれるクライアントが、在宅時に心からくつろげるような美しく、かつ元気な子供たちがのびのびと心地よく過ごせる大きな空間(デザイン性)と、室内の空気環境(温熱環境)を両立できる住宅を目指した。
一階はできる限り間仕切りのない一つの空間を基本としながら、回遊性のある計画とし、二階は子供の成長に合わせて将来的に間仕切りが出来るように伽藍洞とした。
主室(リビング・ダイニング・キッチン)は二層分の吹抜け空間とし、来客時において平面的にも断面的にも圧迫感が無い様にしている。また、二階からアクセスできる図書コーナーをベランダのように主室に跳ね出させ、家族の気配を感じながらも一人で籠って読書のできるスペースとした。南面は全開できるガラス戸の大きな開口部を設け、ウッドデッキを経て庭に施した緑を感じられる。外観は、下屋根や焼杉板・白い壁にすることにより民家のような設えとしている。
大きな一つの空間としたため、室内の温熱環境をいかに有効にするかが課題となった。高断熱高気密住宅は、一般的に魔法瓶のように熱を閉じ込める冬重視の造りである。夏場もエアコン等の空調機を使用したままにすれば問題ないかもしれないが、省エネルギーの観点からは無駄が多い気がする。そして、日本の夏に問題となるのは湿度の問題である。古来の日本住宅がそれらを解決できたのは日本の伝統工法「土壁」の作用である。
日本の古い民家に行くと、夏場はひんやりと気持ちの良い空気感がある。自然素材を使用した「土壁」の効果が大きいのではないかと思う。この「土壁」の作用を現代の建材・素材で実現できないかと考えた。
自然素材の断熱材(ウッドファイバー)の調湿性と熱容量の大きさ(熱をためる力)を利用し、気密性を確保しながらも内外の湿気を行き来させることのできる透湿可変シートを使用することにより、土壁に近い作用を持たせた。
さらに太陽の熱を屋根に集熱させ、建物内へ循環させる仕組み(そよ換気)も併用している。空調機も一般的なエアコンを使用せず、輻射熱による冷暖房機(夏場は冷水、冬場は温水を流すことによる冷暖房機)を設置し、風に対するストレスのない自然な温熱環境を実現している。
目に見えるデザイン(形や間取り・素材)と目に見えないデザイン(温熱環境・性能)を両立することができ、家族の成長と共に、深みが増す住宅となるであろう
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