Photo © Noriki Matsuzaki
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m house

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Lieu
Niigata, Japon
Année
2017

敷地は周囲を山に囲まれた盆地。夏には気温30度、湿度80%を超す高温多湿な気候。冬には2mから3mの積雪がある特別豪雪地帯に指定されている新潟県魚沼市。
その土地に夏がカラッと涼しく、冬暖かい。そして雪との付き合い方を楽にする住宅の建て方が求められました。

近隣の雪に対する一般的な対策は、
1.高床式住宅
2.井戸水による屋根融雪
3.付加断熱による厚い壁
といったもの。
しかしながら、これらの対策によりどうしても生まれてしまう屋内と屋外との隔絶感、それによる違和感を拭えず、
1.高い基礎の上に暮らすのではなく、基礎の中に暮らす
2.厚い壁ではなく薄い壁で暮らしを包む
3.縁側とかサンルームといったバッファゾーンを極端に大きく計画
といった、この土地での雪や、寒さ、そして暑さとの付き合い方を全く新しくすることを提案。

1.基礎の中に暮らす
基礎の通常より少し高めに立ち上げ、その中にそのまま生活空間を入れ込む。RC基礎の立ち上がりはしっかりと外断熱をされ、薪ストーブの放射熱を大量に蓄え、輻射熱を発生させる。また、どうしても外皮性能を断熱材の厚さに頼らざるをえないこの地域において、高床とせずに生活を周辺の地面レベルとすることで、積雪そのものをもう一枚の断熱材として、もう一枚の暴風壁として活用することを試行。また夏にはこの基礎の中はプールのような冷涼な空気の溜まり場として、気持ちの良い拠り所となるように計画している。

2.薄い壁に包まれる暮らし
外皮の軸組を全て表しとし、軸組の外側に断熱及び外壁を仕上げています。実際の壁厚は160mm程と一般的な壁厚としながらも、それを基礎及び軸組の外側に追いやることで、その実際の壁厚をどこか意識の外に追いやることを試行。日常の暮らしの床レベルを地面レベルまでに下げて、暮らしの直ぐ傍に基礎が見え、そして軸組が見え、ベニアが見えるといった簡単な建築操作は、サッシのディテールや小さな構造部材(構造材は105角 90角 105*150)を利用しての大空間、見せない仕口金物ディテールといった繊細なデザインや細やかな配慮と重なり、
想像以上に屋内と屋外との関係を近親とすることに成功しているように思う。

3.大きなバッファスペース/小さな居室
大きな居室の周りにテラスや縁側といった細く小さなバッファスペースを配し、屋外との緩衝スペースとするのではなく、むしろそのバッファスペースを主空間とし最大化し、その快適性/快楽性を大きく享受することを目指した。
もちろん、今回計画しているバッファスペースは少し寒かったり、少し暑かったりというものではなく、通常断熱に加えて、雪断熱や雪壁利用など、温熱環境には最大限に配慮している。
しかしながら、ここで生まれた「バッファスペースらしさ」というものは確かに屋内と屋外の間にあり、それらを有機的に繋ぎ、この土地での当たり前の生活を、少し大きく世界に開く。そんな心地よさを感じさせてくれる。

これら3つの要素の重なりにより、
高床を当たり前とし、家の中からは雪原を見下ろすといった、当たり前のここでの快適とされる暮らし方に対して、
批評的に、より暖かに、雪とより近親となる「新しい暮らし」が、「この土地の暮らし方や風景に働きかける建築」が明快に実現できたように思う。

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