Re: KT-house

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Sede
福井, Japan
Anno
2019

この作品は、イタリアのデザイン賞A' Design Award 2020 のインテリア部門で[銅賞]を受賞しました。
 概要説明:
《KT-House》は竣工後18年が経ち、設備機器の更新も兼ねて1階を中心に改修することになりました。

デザイン・コンセプトの貫徹:
この住宅は一枚の板を折り曲げたような形でできており、そこにコンクリートでできた直方体の箱を挿入して全体を支える構成となっています。この直方体の内部がキッチンエリアで、箱の表面(外側の仕上面)は室内外とも杉板型枠のコンクリート打放しで仕上げられており、コンクリートでありながらも木の質感を残しています。
今回この竣工当時のデザイン・コンセプトを更に徹底すべく、箱の内面すなわちキッチンエリアの内部を全て木質の仕上げで覆いました。具体的には、スプルースのCLT材(オーストリア製)で壁・天井を仕上げ、床も似た質感のバーチ材を用いました。

キッチン・エリアを居心地の良い茶の間スペースに:
改修に当たって要望されたのは、キッチン・朝食コーナー・食品庫からなる既存キッチンエリアを、朝食時だけでなく何時でも多目的に使える茶の間的なスペースに変更して欲しいということでした。この要望に答えるべく、食品庫を無くして全体を一体空間にし、広々とさせるとともに、シンクを壁付け型からアイランド型に変えて、よりキッチンユニットを中心としたスペースにつくり変えました。内装を全て同じ木質材で統一したこともあり、落ち着いた、居心地の良い茶の間スペースへと生まれ変わりました。

既存住宅竣工時のコンセプト:〈雪のデザイン〉としてのフラットルーフ
福井市は、市街地とはいえ、雪の多く降る多雪地です。最近では、暖冬の影響もあって積雪の量が比較的少ない年も多いのですが、建築設計上は、2mの積雪を考慮しておかなければなりません。しかもそれは重く湿った雪なのです。現在建っている住宅の多くは,”雪下ろし”という人的負担を前提として建てられているのですが、これは単に重労働というだけでなく、一歩間違えば命を落としかねない危険な作業でもあります。設計を行う以上は、少なくともこの雪下ろしを必要としない建築としたいと思います。

こうした思いから、私はこれまで、雪を意識し、それをどう設計に反映させるかという観点から幾つかの設計を試みてきましたが、この住宅の設計時においても、雪との対応がまず第一に考えるべきテーマでした。このとき特に重要となるのは屋根の形です。ここで、パラペットさえなければ、むしろフラットルーフの方が風の影響によって雪が積もりにくいという研究例が幾つかあり、そうした考えを採用して設計を行いました。

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