WRAP
プロジェクト一覧に戻る- 場所
- 愛媛, 日本
- 年
- 2015
眺望を獲得できる高台に土地を購入した建主は広告代理店に勤めるグラフィックデザイナーで、開放性の高い建築空間を希望した。
杉板コンクリート打放し塀とガルバリウム鋼板の外壁がクールな対比を生みだし、端正な外観を構成している。大きな開口部を介して木構造の一部が垣間見える部分を除き、外部から内部の様子を窺い知ることはできない。木製門扉の内側にはRC壁で囲われたエントランスコートが現われ、夜には間接照明が主を出迎える。玄関ドア正面にはオブジェのような鉄骨キャンティ階段を設えた。奥に広がるバスコートにはグレーチングを介して柔らかな拡散光が降り注ぐ。主に1階には浴室や個室を設え、全空間が中庭に面するよう計画した。子供室の中庭にあるシンボルツリーのヒメシャラはファサードのアクセントにもなっている。
階段を上がると2階の壁と天井を一体化する構造体が徐々に姿を現す。連続的に組み上げられた三角構面はSPFとLVLの組み合わせで構成され、床からスリークッションで軒先まで繋がるシェル空間の内部には柱が存在しない。また、開口部は木製4枚引戸とし、バルコニー手摺を透明強化ガラスを用いて高い開放性をつくりあげた。妻側の家具内にキッチンやリビングの諸機能が収納され、色を白にすることで構造体とのコントラストをつくり出している。
随所に仕掛けられた照明はすべて建築化照明とし、ダイナミックな構造体が間接光で包みこまれる夜のシーンは筆舌に尽くしがたい空間が広がる。