写真 © Akira Kita
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あきば何求庵

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場所
和歌山, 日本
2010

まさに静かな懐に、穏やかな村があり、そこに愛する家族と、信頼する友がいる-これ以上何かを求めん 杜甫紀州、熊野代遍路にある旅館“秋葉山荘”眼前には稲積島の浮かぶ周参見の海と、火の神“秋葉大権現”を奉る秋葉の山々。
豊かな自然に囲まれたこの旅館は、先代のお父様からクライアントである女将へと受け継がれ、この秋リニューアルオープンを果たした。改装計画の構想期間は約15ヶ月。女将の夢とこの旅館へのひたむきな想いが注ぎこまれた。女将と、地元の工務店そして弊社事務所の3者で遠方を行き来しての打合せを重ねた。今回は築30年以上経つ木造建築物の改装ということで、解体時に発覚する躯体の損傷も多かった。元あるものを活かしながら、古さと新しさの融合、イメージの一新を第一とした。繊細な縦格子の片引き扉を開け、中に入るとそこには新たに生まれ変わった空間が広がる。海側にあった隣家を解体したことにより、海まで抜ける素晴らしいロケーションを再発見することとなった。全開口の出来る木製建具を開けば半露天風呂となる黒を基調とした“聖音呂”と、白を貴重にした“妙音呂”がある。隣接するキッチン棟も今回の改装に伴い一階部分に手を加えた。新しく入れたシステムキッチン、大容量の収納棚、作業場の拡張。使い勝手のよくなったこの場所で、女将は心のこもったおもてなしの一品をつくられる。
目に触れるもの、耳をおとなうもの、舌で味わうもの、香り、手触り、それらの五感の全てが満たされて、身も心も芯までくつろぐ事ができる宿。

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