写真 © Yoshiharu Matsumura
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たーち屏風の家

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場所
沖縄, 日本
2016

豊見城の家は、沖縄南部西海岸に位置する。この数年で急激に発展をとげた地域であるが、海岸から約500m程にあるこの敷地周辺は塩田が栄えた場所でもあり、現在でもその名残りが一部残っているが、とても閑静な地域である
ご主人は沖縄、奥様は鹿児島の出身である為、この住宅のイメージは沖縄の風土をあわせつつも、内地の雰囲気を取り込む空間がご要望であった。
敷地は角地の三角形であり南側には水路がある。その水路と平行に北側に配した長さ15m高さ4.5mの屏風(ひんぷん)を軸として、プランは展開していく。
長手側を南向きとし、心地よい風通しのある花ブロックとルーバーによる屏風を配した。また、それらたーち(二つの)屏風により生まれた建物との余白を居間から南北へと広がる中庭とした。
母屋は、南西風を吹き流す形で片流れの一枚の木造屋根で覆われている。軒を合わせて9mの長さの登り梁は5mと4mを継いでいる。それらは北側にある束立てコンクリートにより各3箇所で支持することにより、屈強な躯体のコンクリートとの接合と対極に、軽さを表現している。
外観は沖縄らしく正面に植えられたハイビスカスの花や島サルスベリの緑が映える白である。
屏風に誘われ建物にアプローチするにつれ、北庭の地面に埋められた琉球瓦が見える。正面には片持ち階段がトップライトからの光を受けて、琉球石灰岩の質感のある壁に時間の影を刻む。
ゲストルームの和室は床の間の壁を現地の赤土による少し荒々しい表情の版築壁とし、落とし掛けは鉄板となっている。また、壁面には赤土に合わせたトーンでチタン染色した越前和紙をあしらっている。
海に囲まれ、年中風の強い沖縄という環境の中で、強い風を遮り心地よい風を取り込む屏風という昔ながらの考えを、現代風にとりいれたプランとなった。

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