写真 © Yoshiharu Matsumura
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殿山町の家

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場所
兵庫, 日本
2011

Context(背景)
風致地区の多い西宮地域の中でも、とくに落ち着いた街並みが形成されている阪急夙川駅周辺に位置する、殿山町のこの住宅は、非常に多忙な生活を送られているご夫婦とその3人の息子の家族のために設計されている。クライアントは目神山の石井修先生設計のお住まいで育たれ、いずれ自分でも建築をと考えられていた。時と共に三人の息子が成長され、お住まいであったマンションも手狭に感じられ、いよいよ新居の設計に着手することとなった。                              
Concept(趣旨)
1995年の壊滅的な被害を受けた阪神大震災以降、夙川近辺の大地主の土地が分筆されはじめ、それまであった長く続く垣根や風情のある石垣が、箱型の家やパーキングなどに取って代わり変化していく街並みに対して、この住宅は、インスピレーションを求めている。一見、単に装飾的に見える花形ブロックの外観も、都市環境の中で、緩やかに住空間に自然を引き込むための緩衝材であり、かつ地域のランドマーク的役割も担う意図がある。

Material(素材)
敷地は、比較的、車や人の往来の多い前面道路に面した三叉路の角地であったため、住宅におけるプライバシーのとり方がこの住宅のファサードのキーワードとなった。道路の通行人との見る見られるの関係に曖昧性をもたせるような素材として400角の花形ブロックを沖縄から船便でとりよせた。緩やかな敷地のラインに沿って配された花形ブロックによるライトスクリーンは、絶え間なく変化する自然光により、多様な表情を見せている。

Ecology(環境)
風、雨、太陽、空といった自然を、ファサードとなっている花形ブロックと中庭に面した各開口部を通じて、屋内に深くひきこんでいる。またライトスクリーン、屋根のない中庭空間、それを通じて、屋内に深くひきこんでいる。またライトスクリーン、屋根のない中庭空間、それをブーメラン方に囲み連続していく空間のヒエラルキーが段階的に配されている。夏にはライトスクリーンより、暑い西日を砕き、中庭からは水盤の風で涼む。また1,2階に使用しているコンクリートや石の床は、夏は素足で快適に暮らせ、冬には日中の太陽のダイレクトゲインを実現している。1階及び2階には床暖房を設けているが、1階のみの床暖房でも階段吹抜けより2階の暖をとることが可能になっている。

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