写真 © Eiji Tomita
写真 © Makoto Yoshida
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写真 © 吉田 誠
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尼崎パーキングエリア

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場所
兵庫県尼崎市, 日本
2019

計画地は、阪神高速3号神戸線上り・高架上。高速道路の距離料金導入に伴い、尼崎本線料金所が廃止され、高速道路にしては幅広のスペースが残った。2016年に阪神高速道路はそのスペースにトイレと休憩所を計画する設計コンペを開催し、われわれの案が選ばれた。敷地は、南北約20m東西約400m。われわれの案は、敷地全体を公園に見立て、緑化フェンスや芝生、植栽によって滑走路のような敷地を緑化することで、利用者が安らげる環境を用意した。その中に計画建物を奥行き6m長さ160mの細長い平屋の建築とし、利用者が降車してから施設までの距離を最短にして、高速道路上の安全を確保した。
160mの長い建築は、高架のエキスパンジョイントを4箇所またぐことになった。ちょうど電車が5両連結しているような状態である。また、計画建物は地上15mにあるため耐風圧強度など相応の強度が求められた。特に耐震強度は、高架上などの条件から通常より、より高い耐震性能が求められた。つまり、平屋にしてはずいぶん骨太のプロポーションの構造体になった。
提案した建築は、軽やかなひさしを持つ縁側的な空間である。5棟の連結した構造体は、それぞれが余条件を満たしながら軽快に繋がらなくてはならない。適切な壁やコア、柱を配しながら、建築を東側でクランクさせグランドレベルを緩やかな勾配によって1m程かさ上げした。かさ上げした公園には大きな木を植え、高速道路上とは思えないような林をつくった。西側の駐車スペースは土木スケールだが、クランクさせて生まれたハナミズキ広場は、かさ上げしたグランドレベルと階高を抑えた建物によって建築スケール(ヒューマンスケール)へとゆるやかに変換させた。このクランクは、土木スケールから建築スケールへ、動的空間から静的空間へ、喧噪から静寂へ、人口から自然へと空間を変換する。土木である高速道路上に、さまざまな操作によって建ち上がった建築が、利用者に高速道路上だということを忘れるくらい心地よく働きかければと思う。

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