牛窓の食堂

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場所
岡山県瀬戸内市, 日本
2013

「日本のエーゲ海」と呼ばれる牛窓の海に程近いその敷地は、瀬戸内海からの風が心地よいのどかな場所にある。
そこに、地元の建設会社の社員食堂でもあり、地域の人々が気軽に利用できる、町の食堂を計画した。

地域の人々に親しまれる食堂となるよう、町の食堂としての役割を前面に押し出し、木造平屋建でシンプルな構造・仕上げとし、建物の存在が控えめになるよう配慮した。

躯体の構成は、120mm×120mmの柱・土台・筋交い・火打材と180mm×120mmの梁による3m角を基本とした木軸フレーム。
そのフレームに折板屋根を直接掛け渡し、壁面のガラスを直接木押縁で留め付けて固定することで建物が完成している。これは、木構造ならではの特徴であり、仕上げの為の下地材を不要とする為、工種を減らすことができる。

木軸フレームの組立ては、特殊な金物や木造用金物は使用せずボルトとナットのみを使用して完成させ、どこでも調達できる材料で誰でも簡単に組み立てられるようにした。3m角のフレームは、平面計画の汎用性と程よい階高が得られつつも、集成材ではない一般流通部材を使用することができ、コストパフォーマンスにも優れている。

この構法は他の用途にも適用可能であり、様々な展開への可能性を秘める新しい木造プレハブ構法のプロトタイプとなると考えている。

今計画では食堂としての居心地の良さに重きを置き、技術表現だけに偏らないよう心がけた。

ゆったりとした気積と全面開口部の光溢れる明るい空間とし、建物が利用者に対して緊張感を与えないラフ感のあるディテールを意識してデザインした。
結果、透明性が高く開放的な建物は、多くの人々を誘う食堂となっている。

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