アミュプラザみやざき
宮崎県宮崎市
- ランドスケープ アーキテクト
- デザインネットワーク | DNA
- 場所
- 宮崎県宮崎市, 宮崎県宮崎市
- 年
- 2020
- 建築設計
- 久米設計 九州支社
まちに開かれた“だんだん”テラス
アミュプラザみやざきはJR宮崎駅前に建設された大型商業施設で、主に「うみ館」と「やま館」と呼ばれる二つの建物で構成される。本計画ではアミュプラザみやざきだけでなく、宮崎駅西口広場やその周辺も含めた再整備により新たなにぎわいを創出し、商店街(あみーろーど)や集客力の高い橘通エリアとの相乗効果によって、まち全体の活性化を促すことを目指した。また宮崎県や宮崎市も駅前広場等の再整備に積極的に参画しており、官民一体となった「まちづくり」が行われた。私たちは「うみ館」の屋上庭園が商業施設としてのにぎわいをもたらすことは勿論のこと、「まちづくり」に寄与する、ある種の公益性の高い場所としてデザインすることが求められた。
厳しい斜線制限を緩和することによって生まれた「うみ館」の階段状の建築のボリュームは、日本有数の美しい棚田が存在する宮崎の風土を連想させることから、ランドスケープのデザインキーワードを「だんだん」と設定した。「だんだん」は棚田を表す「段」、「日本のひなた宮崎県」とも呼ばれるように宮崎の温暖な気候を表す「暖」、そして利用者が上階へと歩を進めるにつれて、だんだんと空が近づいてくる、だんだんと海が見えてくるといった湧き上がる期待感や高揚感も表している。
利用者は宮崎の海や山、街の風景を楽しみながら、小高い山をハイキングするように「山頂」の交通神社まで、つづら折りの路を登っていく。路沿いには宮崎の環境に適した色とりどりの植栽を施し、利用者が様々な過ごし方ができるスペースをレイアウトしている。
6Fはトンネルのある築山や人工芝によって、親子連れも安心して楽しむことのできる遊び場として開放している。7Fはイベント等も行える開放的なスペース、柔らかく植栽に囲まれたスペース、テナントがテラスとして利用できるスペース等が緩やかに繋がっており、階段状のカスケードがテラスに潤いとアクセントを与えている。8Fと10Fに計画されたオフィス専用の「オフィステラス」は、屋外ミーティングやリフレッシュスペースの場として活用されることで、オフィス活動が屋上庭園へ滲み出ることを期待している。9Fには南国らしさを演出するアメリカデイゴをシンボルツリーとして植樹し、その周りにベンチや人工芝を設けることで、利用者がゆっくりくつろげるような居場所を計画した。そしてRFには展望デッキと交通神社があり、宮崎の豊かな山や海、街並みを一望することできる。
開業後「アミュにわ(6F〜10F)」「アミュそら(RF)」と名付けられた屋上庭園で、学校帰りの学生や子連れの親子等、多くの利用者が思い思いの時間を過ごす姿があった。これからも「アミュにわ」「アミュそら」が商業施設という枠組みを超えて、まちに開かれた公園のような場所として、宮崎の人々の暮らしの中に溶け込んでいくことを期待している。
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