松山南の家

愛媛, 日本
写真 © Toshiyuki Yano
写真 © Toshiyuki Yano
写真 © Toshiyuki Yano
写真 © Toshiyuki Yano
写真 © Toshiyuki Yano
建築家
小松隼人建築設計事務所
場所
愛媛, 日本
2013

松山市街地からほどよく離れた、のどかな郊外に建つ住宅である。

敷地周辺は東側道路以外は隣家が建ち並んでいるが、それぞれの敷地が広いこともあり適度な距離を保っている。建主の要望は、既存建物と同様に平屋の構成で、南庭を可能な限り残し、この庭を眺めながら開放的に生活したいことであった。

必要とされる居室のヴォリュームを敷地に当てはめると、南庭に面したLDKは十分な採光は得られるが、一方で北側居室の採光が確保できなくなる。敷地の西側の既存母屋への通路を考慮すると、コートハウス形式のような中庭をつくるための奥行きも確保できない状況である。そこで、平屋の大屋根を一部勾配とは逆方向に折り曲げることで、北側居室に採光を取り入れる開口をつくり出した。結果、北側居室に南からの採光は得られたが、折り曲げた片流れの屋根を見ながら生活することになるため、この屋根をひな壇状にして植栽することで、2つ目の南庭として捉えることができる景色をつくりだした。北側は洋室、和室、浴室と並ぶが、今後それぞれの居室に合わせた植栽計画をさらに行っていく予定である。

構造は、RC+木造の混構造を採用した。南庭に対する大きな開口部分、屋根緑化による防水性能を考慮した部分にRC造を選択し、それ以外を木造としている。さらに水平力をRC部で負担することで、木造部に水平力を負担する壁がほとんど不要となり、LDKの広がりを実現させている。

敷地が広ければ平屋を望まれるケースも少なくないが、与条件によっては窮屈になるケースもある。屋根を庭と置き換えることで空間をコンパクトに整理することができ、すべての居室に開放性をつくりだした平屋の空間になったのではと感じている。

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