House S

広島, 日本
建築家
小松隼人建築設計事務所
場所
広島, 日本
2024

【高低差から導かれた景色と暮らしのシークエンス】
山林の中腹を傾斜に沿って雛壇造成した住宅地に建つ住宅。広島市内はこのような住宅地が多く、高齢化に伴って少しずつ街並みが更新されつつある。敷地は手前に遮るものがなく、東から南にかけての眺望が良い。東は造成で残った原生林もあり、隣地との距離が適度に保たれていた。

敷地はもともと中央に1.5m程の高低差があったため、4層の床を半階ずらしたスキップフロアの断面とし、室同士の緩やかな繋がりをつくった。さらに床同士をつなぐ階段に天窓を配置したことにより、安定した光と上下階を通り抜ける風通を確保している。

4層の空間はそれぞれ変化をつけた。1階は明度を下げた階段とすることで1.5階の視界の広がりを助長させる。1.5階のリビングは外部へと地続きに広がり、内外を水平方向に繋げる。そこから2階へ上がる階段は間口いっぱいに伸ばすことで、飾り棚や収納を兼ねた大きな家具を置いたような設えとした。2階の浴室からは手前の樹木に守られながら原生林を望み、2.5階のセカンドリビングからは空と合わせて広島市内の眺望を見通すことができる。

敷地の高低差から導かれた4層の床は多様な場をつくり、そこから望める多様な景色と共に豊かな暮らしがシークエンスに展開されていく。

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