The Circle
チューリッヒ, スイス
- 建築家
- 山本理顕設計工場
- 場所
- チューリッヒ, スイス
- 年
- 2020
■設計要求
コンペの要綱には、提案の要求として以下のことが記されていた。
1. スイスらしさ: The Circle at Zurich Airportは、スイスの高い生活水準だけでなく、コンパクトな空間に、スイスの現代的な美しさを表現する。
2. サプライズ: The Circle at Zurich Airportは、驚きの連続、訪問客や利用客はこの場所からインスピレーションを受ける。ありきたりでないサービスの提供や、特色のあるコンビネーション、様々なパースペクティブの変化などによって、訪れる人々をあっと驚かせる空間の創造。
3. 世界に通じる: The Circle at Zurich Airportは、世界を旅行するコスモポリタンにとって、家のように過ごしやすい場所。世界とつながっているとは、世界中の人々と出会い、それに対応するサービスが用意されていること。
■設計概要
○ コンセプト
1.Swissness
スイスらしさとは何か。私たち建築家はその問いに答えることを求められた。スイスらしさとは緻密性である。私たちはそう考えた。時計などの小さなものから建築などの大きなものまで、その「緻密さ」がスイスデザインの卓越した特徴ではないかと考えた。デザインだけではなく、保険や銀行に象徴される経済的なサービスシステム、あるいは政治的な運営システム、あるいは医療技術においてもその緻密さは世界の中で特別な意味を持っている。Swissnessはもののかたちとして現れる以前にスイスに住む人々が長い時間をかけて培ってきた一つの思考方法そのものであるように思う。そのスイスの緻密さを徹底的に表現したいと考えた。この極めて細い柱による建築はそのswissnessの象徴である。PC工法による極限まで細い柱は建築の全く新しい繊細さを実現する。
2. 新しい街、サークル
サークルは19世紀の都市でもなく、20世紀の単なる合理性、経済性を追求した都市でもなく、21世紀の新しいライフスタイルをつくる全く新しい都市である。今までの都市の楽しみ方とは全く異なった新しい都市の楽しみ方があるはずである。それは日常生活の為の都市であると同時に、特別な生活、特別な出来事のための都市である。その特別な生活、特別な出来事を体験するために世界中から集まる人々、でもその都市はディズニーランドのような虚構の街ではなく、ただ消費のための町でもなく、世界中に強い影響力を持つ創造都市である。
3. Divers(c)ity
現実的に今の人々の日常生活の中心になっているスイスの中世都市は、古い構造を残しているからこそ、極めてフレキシブルなのである。時にはレストランに使われたり、あるいは高級ブランドショップに使われることもある。あるいは快適なホテルになる。隣り合った棟と棟が一体に使われることもある。構造やデザインは変わらなくてもその内部の使われ方は極めてフレキシブルなのである。都市のインフラと建築との関係が極めて密接に出来上がっているからである。長い時間に耐えてきた秘密がそこにある。サークルもまたそのような都市である。その中世都市の構造を全く新しい技術と工法とデザインによって再現したい。全く新しいデザインではあっても、訪れる人がどこか懐かしいと思えるようなデザインである。
用途:オフィス、ホテル、商業施設、イベントホール、ウェルネス
敷地面積:35,000 ㎡
建築面積:20,000 ㎡
延床面積:255,750 ㎡
構造規模:PC造+RC造、S造
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