写真 © Toshiyuki Yano
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柱の杜

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場所
愛知, 日本
2013


新しく建設された自社オフィスの計画。


 


敷地は名古屋市近郊、地下鉄の最終駅の近くに位置し、大きな幹線道路に面している。


この周辺は大規模な開発が進められ、今後、大きく変容する地域である。


 


設計を進めるにあたり、


今後の会社の発展を担うような、新しい空間のイメージをつくること。


スタッフのコミュニケーションが豊かに促進されること。


木造建築でつくられる可能性を探ることなど、を念頭に置いた。


 


この建築は次の操作により生成される。


まずは柱の操作。30本の柱を井型に配置し、内部に耐力壁をもたない構造とした。


次いで床の操作。自由に設定できる床は、働くスタッフが選択できる複数の居場所を考え、高さに変化を与えていった。そして外装の操作。外壁の4面全てに同じ大きさの開口部を反復させ、古典建築における正面性をもつような永続性の高い外装とした。最後に、それぞれの操作を重ね合わせることでできた建築は、恣意性の高い空間となっている。


 


窓が床で切り取られていたり、手の届かない位置に存在したり、階段が床と床の隙間から覗かせていたり、変化に富んだ空間が生まれた。


この空間に4周の窓から光が差し込まれることで、人工物の空間でありながら森の中にいるような感覚を得る、豊かな空間となった。


 


この空間の生成のルールは一見すると、ポストモダンの建築を髣髴させるかもしれない。


しかし、ポストモダンの建築が意味性に特化した建築と捉えるならば、この建築は意味と空間の強度を合わせ持っている。


本来のポストモダンの建築の在り方とは何だったのか?改めて問い直してみたい歴史的な価値が、そこにはあるのかもしれない。

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