Photo © F.A.D.S
Photo © Takeshi Taira
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KT-house

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Jaar
2001

多雪地に建つ住宅の計画です。あたかも一枚のプレートが折り曲げられて全体がつくられているかのようなかたちをしています。

サロン:家族のための舞台

設計に際して要望されたのは、夫婦と子供3人からなる5人の家族がみな、楽器を演奏するという趣味を持っているため、家族がいつも一緒に過ごせるような場所に楽器演奏の練習スペースをつくって欲しいということでした。この練習スペースを、楽器の演奏だけでなく、家族が思い思いに時間を過ごせる場所という意味からサロンと名づけ、リビング・ダイニングと空間的に一体となるような位置に計画しました。サロンは、床レベルを50cm上げることで領域を分け、舞台のような効果を狙っています。

雪のデザインとしてのフラットルーフ

福井市は、市街地とはいえ多雪地であり、設計上考慮しなければならない積雪量は2mに達します。私たちはこれまで、雪を意識し、それをどう設計に反映させるかという観点からいくつかの設計を試みてきましたが、特に重要となるのは屋根のかたちです。防水立ち上がりのない平らな屋根は、風の影響により雪が積もりにくいという研究例がいくつかあり、以前設計した《小林眼科》とともに、この住宅でもそうした屋根のかたちを採用することにしました。

シームレスに連続する一枚のプレート

これまでのプロジェクトでは、積雪への考慮から平らな屋根面が形成されることで、さまざま工夫を重ねたものの、なかなか箱形建築の集合体という域を脱することはできませんでした。この計画でも、最初は箱形のかたちからスタディを始めたのですが、何とか箱形建築から脱する方法はないかと試行錯誤を重ねた結果、床・壁・屋根が連続的につながり、あたかも一枚のプレートを折り曲げてつくったかのような構成が得られました。〈閉じた箱〉から〈一枚のプレート〉へ、〈リジッドな幾何学〉ではなく〈なめらかな幾何学〉を、それぞれ置き換えることによってできあがる空間をこの住宅で目指しました。

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