東京大学生産技術研究所アニヴァーサリーホール
東京, Japan
- Architecten
- 遠藤克彦建築研究所
- Locatie
- 東京, Japan
- Jaar
- 2012
- 共同設計者
- 今井公太郎
既存建物である60号館は、昭和37年に我が国最初の超音速風洞として完成し、超音速気流風洞実験室及び高速内部流体実験室として利用されていました。昭和39年に宇宙航空研究所となって本格的に利用され、超音速風洞は空気力学部門、内部流体実験室は原動機部門として活用されました。その後、宇宙科学研究所が平成元年まで管理していましたが、変電室の漏水等を理由に機能停止状態に至りました。
本計画は生産技術研究所の第二工学部時代からの研究のクロニクルの整理とアーカイブ事業を継続して行えるようにするため、研究棟の床面積の確保と、生産技術研究所60周年記念館としてのアーカイブ資料館機能を併せ持つ、60号館を整備する計画です。
1期の改修工事の範囲は、研究室機能が主であり、既存建物の複雑な空間を整理しながら、現代の研究室環境の充実と使いやすい空間の確保に配慮した計画としました。2期の改修工事で、アーカイブ資料館機能が付加され60号館は完成となりますが、既存建物の構造躯体を有効に活用することで、建設計画全体のCO2 削減や環境負荷の低減はもとより、50年という長い時間をかけてなお現代も存続しうる60号館を、時間の経過を建築として表現することで実現したいと考えています。
具体的には、既存の構造躯体は天井を張るなどして隠蔽するのではなく、躯体に最小限の表面処理だけを行い、積極的に素材の経年変化を表現しています。また、設備配管スペースを既存建物の外観を阻害せずに確保するため、外部 PS として既存建物から離隔して配置する計画としました。内部では、二階を二重床とし、フリーアクセスフロアとするだけでなく、配管引き込みスペースや、床下空調のチャンバーとして、設備的な空間にインテグレートしています。
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